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2018年08月16日つばき谷の小道

智者が池のドン亀

散歩の途中、智者が池で一息入れる。

傍のスーパーでアイスを買い、ぼんやり池を眺めていたら、泥ガメが浮いたり沈んだりしている。

いかにも動作がのろいドン亀だ。

日向ぼっこをしているのか、甲羅干しをしているのか、なかなか動こうともしない。

子どものころ、自宅の前を八幡川が流れていた。

家の縁側から、スイカを食べながら、種を川面に向けて放りつつ、時々現れる泥ガメをじっと見つめていた。

口の中のスイカの種がそのまま下に落ちる。

その姿を見て、私の友達は私にドン亀、ドン亀とあだ名をつけた。

知者が池子ども食堂は、夏休みの間だけ開設される。

夕方4時から始まり7時には親たちが迎えに来る。

シニアボランティアとして火曜日に参加している。

1年生から6年生まで、それとなくグループを作って勉強している。

どこに入ろうか、あまり考えることなく1年生のグループに加わらせていただいた。

「うんとこしょ!どっこいしょ!」一人の子どもが読み始めると、グループ全員が大きな声で合唱する。

足し算や引き算をやっていた子どもも、つられて一緒に合唱する。

「おおきなかぶ」を読み終わっても、すぐには自分の課題に戻れない。

腕相撲や机の下に潜り込んででてこない。

先生に大きな声で叱られて、やっと自分の宿題に取り掛かる。

いつの間にか、3つの小学校に通う子どもが仲良しになっている。

6時には、夕食が始まる。

「1年生から手洗いを始めてください」のアナウンスとともに、ならんで手洗いをする。

トレーに盛られた主菜とごはん(今日はカツライス)、スープ、サラダをしっかりと抱えるようにして持って、自席につく。

合図があるまでじっと我慢して待つ。

少し口元が開いているけれども、目は大好きなカツを見つめている。

5年生の合図で「いただきます」と元気よくあいさつをして、スプーンと箸をもつ。

「きれいに割りばしわれたでしょう」と一人が私に示すと、ほかの子どもも口々に「きれいでしょう」と見せてくれる。

1年生同士の小さな家族で食事をいただく。

夕方は、少し寂しい。

子ども時代も、遊び疲れて家に帰るとき、友達と別れるときふと寂しさを覚えた。

大人になって就職して、仕事を終えたあとアパートに帰るとき、充実感や疲れとともにふとさみしさを覚えた。

家庭を持ってからも、仕事帰りの夕刻は、家族の待つ姿を思い浮かべつつ、懐かしさと寂しさを覚えていた。

そんな時、一人でなくみんなと一緒に夕食をいただくと元気になる。

智者が池のドン亀たちよ、明日も頑張ろうな。

(髙橋 憲二)

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